イェェモン

イエモン、えぇもん、そのふたつについて。

ぼくと視力検査と眼科の話。

視力検査が苦手だ。

あっているか、あっていないか、微妙なとき。

あれってみんなどう回答しているんだろう。

 

たとえば、上に穴があいていると100%の自信を持っているとしたら、自分は「うえ!!!!」とハッキリ言えるのだが。右だったら、「みぎ!!!!」っていうし。食い気味に。

 

視力検査は、上の方がCの字が大きくて。下の方が小さい。下にいくにつれて、自分の判断があっているか自信がもてなくなる。だから、「うえ……??」とか「みぎ……?」とか、語尾のトーンをあげて、自信なさげに言うしかない。みんな本当にどういう気持ちで視力検査に取り組んでいるんだろう。

 

適当に答えても、4分の1の確率で正解をだしてしまう。メガネをかけたり、コンタクトをして検査を受ける時は、真の自分の力を出している気がしない。色々な疑問や不満や感情が、視力検査中に渦巻いてしまう。

 

ちょっと違うかんじの検査では、「赤と緑の色、どっちが濃いですか?」って聞かれる検査がある。あれも苦手だ。大抵は、どっちも同じ濃さに感じてしまう。仮にどっちかの色が濃く見えたとしても、それは、自分にとって片方の色が濃い という印象を受けただけだ。

 

本当にどっちが濃いかなんてわからない。

あれって正解あるの?ないの?

 

なんて答えればいいのか、わからんし、どっちが濃いかわからん。ぼくは、だいたいのことが、よくわかっていない。だから自分は、「緑の方が…濃いような…印象を受けます」みたいに答えてしまうのだ。とても優柔不断で曖昧な自分を良く表していると思う。

 

視力検査は苦手だが、眼科は嫌いではない。むしろ好きだ。女性スタッフが、顔に触れたりする時の非日常感が、通常味わえない感情や体験を味わえるのが、とても不思議で面白い。だから眼科が好きだ。

 

なにも性的興奮を覚えるわけではない。僕は変態ではない。

僕は変態ではない(大事なことなので復唱)。

 

考えてみてほしい。日常生活で初めて会った異性に身体の一部を触れられることなんて、他になくないか?あるといえば、レジでお釣りを渡されるときくらいか。あれは二人の間にレジカウンターという物理的境界があるから、なんか違う。日常生活の中で買い物は必要不可欠だし。買い物は日常、レジでの釣り銭渡しは日常の一部。眼科は非日常。そんなに行かないから。女性スタッフにメガネをかけてもらう、はずしてもらう。顔に触れられる。その時、僕は「おっふ」と感じるのだ。

 

視力検査は苦手だが、眼科は好きだ。おそらく半年くらい先になるだろうが、非日常的な感覚と、「おっふ」と感じられる日を、楽しみにしている。