イェェモン

イエモン、えぇもん、そのふたつについて。

愚痴聞き屋について

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2019年4月14日、愚痴聞き屋の記事が、信毎の一面に掲載された。長野県外の人にはピンとこないだろうが、信毎は県内の多くの世帯で読まれている。その新聞の、一面である。 

 

もくじ

 

 

①僕と愚痴聞き屋の出会い

愚痴聞き屋。彼らは、長野駅付近の某商業施設の近くに出現する。地面にブルーシートを敷き、そこに座り込み、「いらっしゃいませ‼︎」「愚痴吐いてきませんか‼︎」と声をあげる。そんなイかれた男たちだ。

 

僕が、彼らと出会ったのは、今からちょうど一年前、2018年のことだ。その日は、午後に小雨が降ったり、9月なのに蒸し暑かったことをよく覚えている。僕は休日だった。フェイスブックかなんかで愚痴聞き屋が出没することを知って、駅前に足を運んだ。

 

どんな人が愚痴を吐きにくるんだろう、どんなかんじで愚痴聞き屋は対応するのだろう。そして、待ち行く人が見ず知らずの人たちに話すという光景は、いかなるものなのか。そんなことを確かめたった。

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某商業施設前。

そこに広がっていたのは、異様な、だけど不思議と幸せそうな空間だった。

 

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ブルーシートの周りに、何人もの人がいた。トータルすれば10人くらいはいたかもしれない。周りの人同士、おそらくこの場所で初めて出会ったであろう人たちが、話しているのだ。このような光景を僕は初めて目にした。

 

愚痴を吐きにきたのは、出版社に勤める若い女性や、そのへんで呑んでた男性など。愚痴を吐きにくる人は皆、愚痴聞き屋に対して、周囲に集まった人に対して、心を開いている気がした。

 

愚痴聞き屋は、誰が相手でも、平等に向き合って話していた。そして愚痴を吐きにきた人たちは皆、笑顔で帰って行った。

 

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https://www.instagram.com/p/BneAjvahwYK/

 

普段過ごす家庭や学校や会社以外の場所。そういう場所でしか話せないようなこともあるだろう。そんなことを話せる間柄であったり、居場所があるということは、心や安定に繋がるのかもしれない。目の前の光景から、そのようなことを僕は考えた。

 

②愚痴聞き屋について

愚痴聞き屋は、そーし君、こーへい君 がメインとなり活動している。詳しく知りたい人のために、2つの記事のリンクを貼っておく。そーし君が書いたレポート記事と、愚痴聞き屋に参加したハタコシ君という男の記事。ぜひ読んでもらいたい。

 

note.mu

h2hahaha.hatenablog.com

 

③僕も愚痴聞き屋をやってみた

2019/08/31

そーし君、こーへい君と共に、僕は東京へ行った。初参加。そのときのレポートを書いてみた。長文であるが、読んでくれたら嬉しい。

 

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長野→上野→渋谷→徒歩で代官山いう経路で、代官山へ足を運んだ。代官山に近づくに連れ、雑多な渋谷から小洒落た街並みへ僕の視界が変わっていく。外は晴れ。ワクワクする気分が高まっていくのを感じた。

 

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15時、代官山駅正面口に着いた。こーへい君がいた。僕らはここで待ち合わせをしていた。数分後、そーし君、そして、クーラーさんと合流。クーラーさんはそーし君の友達で、僕は初対面。4人で今日は愚痴を聞く。

 

まずは100均で買い出し。ブルーシートやホワイトボードを購入。その道中および買い出し最中、クーラーさんがメチャクチャ話しかけてくれた。クーラーさんは高速スピードで話してくる。頭の回転がとてつもなく早い。そして目の前の相手に興味をちゃんと持てる人だ。会って数分で、すでに僕は彼に心を開いていた。信頼できるなぁこの人は。そう思った。

 

客寄せのため、シャボン玉製造マシンを購入した。これはクーラーさんのアイデア。お子さんがいらっしゃるので、愚痴聞きの後は、家庭に持ち帰るとのことであった。自分やそーし君と同い年だけど、彼はパパなのだ。すごい。

 

買い出しの後は、代官山 T-SITEへ。なんかカフェみたいなところで、17時過ぎまで語り合った。真面目な話、卑猥な話、人生や仕事の話もした。濃密な時間であった。

 

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18時台、代官山で食事。この後の愚痴聞きに備えて力を蓄えることにした。お店は、寺カフェというところ。ガチでお坊さんがいるカフェ。話を聞いてもらうお客さんがいたり、お坊さんがインタビューを受けていたり(ネット?テレビ?雑誌?わからない)。すごい場所だった。料理がうまかった。店員さんが可愛かった。僕らはアルコールを注入した。

 

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19時過ぎ、僕らが落ち合った代官山駅正面口へ。ここにくるまでの語りだけでもう大満足だったが、僕らは本来、愚痴を聞きにきたのだ。人々が帰路についたり飲みにでかける時間帯、そしてやっぱ東京なので、そこそこ人がいた。その中で、ブルーシートを敷き、地面に座り、看板を掲げ、僕らは愚痴を聞く。そんなこと本当にできるのか、自分が今からこれをやるのか。不安だった。ドキドキした。帰ってもいいかなと思った。

 

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クーラーさんがシャボン玉製造機でシャボン玉を代官山の街に放った。緊張がほどけた気がした。

 

ブルーシートを敷いた。そーし君がホワイトボードに「無料で愚痴聞きます」と書いた。こーへい君が、愚痴を書き込める愚痴ボードを作成した。腹をくくり僕も地面に座ることにした。

 

そーし君やこーへい君に習い、
「いらっしゃいませ!」
「いかがですか!」
「愚痴聞きます!」
と僕は声を出した。
地面に座り声を出すと、より緊張がほどけるのを感じた。

 

しかし、あまりに人が寄ってこない。
クーラーさんがサクラになった。サクラのクーラーさんの愚痴を僕は聞いた。なんだこの時間は と思ったが、正直メチャクチャ楽しかった。緊張が完全にほどけた。程なくして、僕もサクラになった。それでも人はやって来ない。サクラは儚く散ることとなった。

 

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こーへい君の友達の友達がやってきた。FBで公開した愚痴聞きのイベントに興味を持ったそうだ。僕は一日過ごすなかで、こーへい君の周りには友達がたくさんいるなぁと強く感じた。冒頭で書いてはいなかったが、こーへい君と会った時、彼は別の友達と一緒にいた。前日お世話になった方だそうだ。話を横で聞いたりしていると、こーへい君は周りからとても信頼されている人なんだなと思った。

 

途中で、そーし君やこーへい君のお友達(みずほさん)が来た。長野の愚痴聞きで一度お会いしたことがあった。この方は写真を撮る人だ。いつか写真を見せてもらいたい。

 

その後、愚痴聞きの場所を移動することにした。歩道橋の上あたり。

「いらっしゃいませ!」
「いかがですか!」
「愚痴聞きます!」
と声を出すが、なかなか人が寄ってこない。都会の人は冷たかったり警戒心があるのだろうか。

 

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しばらくすると、僕の中学の友人が様子を見に来た。彼は大学から東京で暮らしている。来てくれて嬉しかった。

 

本当に嬉しかった。
いまこの場所に、僕が新潟を出て長野にきてから出来た友人がいて、そーし君達の友人がいて、自分の中学の友人がいる。自分が過ごした時間の中でこれだけ人に巡りあえたことが奇跡でしかないと思った。僕は嬉しくなって、シャボン玉を製造しまくった。ウィンウィンと、マシンの音がけたましく夜の代官山に響いた。

 

あまり人が来なかったので、みんなで相談し、僕らは次の街へいくことにした。電車で。電車が来る前、そーし君が全速力でさっき降りたばかりの階段を駆け上がった。トイレにいくらしい。僕もいくことにした。小便器の前に立つと、そーし君は個室に入った。出るのがすごく早かった。そーし君のキレはすごい。そう思った。

 

次の街は渋谷。クーラーさんとみずほさんとお別れしした。そーし君、こーへい君、僕 の3人で渋谷の街に繰り出すこととなった。

 

街にいる人の数が代官山と段違いだ。怯えた。でも代官山で出来たのならココでもできる。まずは、駅近辺ではあるけど人通りが激しすぎないところへ、座ることにした。

 

興味を持ってくれているであろう人が視界にたくさん入ってくる。僕らをチラチラ見る人や、やべーヤツいるじゃんって言う人とか。1人寄ってきたが、その人は「人生ってなんですかね?」って言ってきた。それは愚痴ではなく問いだと思う。

 

「いくか...‼︎」
僕らはハチ公前に足を運んだ。
人がたくさんいた。
DQN集団ぽいのもいた。


いちゃつく男女、スーツを着た人、フリーハグをやってる人、ケツバット1回500円でやってる人(500円払ったら彼のケツ叩ける)。いろんな人がいた。街ゆく人は、せわしなかったり、浮かれすぎていたり、様々だった。

 

ハチ公像の周囲でやるのは流石にヤベェとのことで、緑色のバスみたいなヤツ(青ガエル観光案内所)付近に行った。youtuberがよく撮影をしている場所。僕らの背後のでかい看板には「人間まるだし」と書かれていた。僕らはまるだしになれるのか。相手をまるだしにできるのだろうか。また緊張してきてしまった。目の前にはスクランブル交差点。見あげれば高層ビル。目と鼻の先に交番。109。

 

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とりあえず、座った。
ブルーシートをひかずに。
地べたに座って、看板をかかけず、様子を伺った。すぐに声を出すには勇気が足りなかった。こーへい君の友達が先程差し入れを持ってきてくれたので、それを頂くことにした。モンスターエナジーが瓶に入った凝縮版みたいな緑の液体を身体に流し込んだ。引き続き、地べたに座る。様子を伺う。そして、考えごとを始めることにした。

今までのことを振り返った。

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代官山で愚痴聞きをいざ始めようとしたときの不安、ドキドキ。さっき渋谷の別の場所で、なかなか人が寄らずとも声を出し続けていられたこと。そして遠巻きに話してくれた人がいたことも思い出した。「なんでこんなことやってるの?」と聞かれた。「日本平和‼︎」と僕は答えた。平和になってほしい。

 

人と距離を縮めること。僕は苦手な方だと思う。相手のことを知りたいと僕は思うけど、自分が相手に興味を示しているのが嫌に思われないかな とか、昔から、今もよく考えてしまう。

 

距離を相手に取られたとき、その距離を自分から縮めたりができない。相手が満足いく形で、自分を押し殺せばいいかな とか、よく考えてしまう。相手のことを知りたいし、話したいと、僕は思っているのに。

 

...クーラーさんのことが頭に浮かんだ。彼は、自分の話したいこと相手と共有したいことを、100%の力で話していた。その話したいことの中に「相手のこと」が含まれていた。相手への興味がすごくある。嫌われるかもなんてこと考えて話しているようには見えなかった。クーラーさんから話をされて、嫌な気持ちなんて僕はひとつも湧かなかった。

 

そうだ。自分が不安がって話すから、それが相手に伝わってしまうことが、今まであったんじゃないか。話したいこと話せばいい。自分には「相手のことを知りたい」という気持ちがある、距離を縮めたいという気持ちがあるのだから、その気持ちを不安がって押し殺さなければいいんだ。どこにいっても。誰とでも。

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もう、大丈夫だ。
渋谷ど真ん中でもどこでも。
やりたいようにやる。

愚痴聞きたい。今しかできないことを今日は目一杯楽しみたい。疎まれたっていいや。

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「いらっしゃいませ!」
「いかがですか!」
「愚痴聞きます!」
と僕は声を出した。そーし君も、こーへい君も声を出した。

 

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太めの男性が来てくれた。彼は、友達に不満を抱いていた。扱いが良くないと。彼は愚痴を言いにきたのに、友達は待たずに置いていってしまった。「ホラ、見てくださいよ」スクランブル交差点を渡ってしまった友人を指差して彼は僕らに愚痴をこぼした。何て彼に言ったかは覚えていないが、ちゃんと愚痴を聞いた。愚痴をこぼし終わり、スクランブル交差点を渡りにいこうとする彼に対して、「ありがとうございました!」という言葉が自然にでた。

 

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次は17歳の少年。女ってなんだろう、みんなすぐ調子に乗る という愚痴をこぼした。僕らの隣で彼は何人かのグループでさっきから遊んでいたのだ。不満を持ちながら交友関係を続けているらしい。僕にはその気持ちがわからないが、彼がどう考えているかを知りたかった。話を聞くと、隣のグループ以外にも、いろんな女の子と交流があるらしい。「不満があるのなら、その気持ちを持って友達付きあいする時間はもったいなくない?」と僕は言った。なんやかんやで、僕らの前で、「いい機会だから」とのことで、嫌な女の子のLINEをブロックした。スッキリしてくれたようだ。最後に僕らは固く握手を交わした。

 

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隣グループの女の子も愚痴を言いに来た。その女の子は、街ゆく人が写真を撮らせて欲しいと声をかけてきたりしていたので、SNS上の有名人なのかな?って思いながら、さっきから横目で見ていた人だ。話を聞くと、フォロワー数25万人のティックトッカーらしい。やべえ。チヤホヤされるのが好きだと言っていた。今日は自身を囲むオフ会があったらしい。相手の情報量が多く整理するのに疲れたため、こっちが何言ったか覚えていない(見た目も派手)。男のチンコ切って売りたいとか、向こうが言っていたのと、2万から3万で売れると言っていたことは覚えている。ティックトッカーを超えてチンコキッターなのだろうか。値段はどこ情報なのだろうか。いろいろな謎を残し、愚痴を言い終わった彼女は、またその辺で男と遊びに興じた。

 

その後、男性2人組が来た。仕事が面白くない、やりがいを見出せない。とのこと。僕も気持ちはわからないでもないので、ひたすら愚痴をうんうんと聞いた。終電があるようで、彼らは駅へ足を運んだ。

 

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ほかにも愚痴は聞いたかもしれないが、思いだせない。楽しかったという事実だけは忘れられない。僕が書いたのは、自分目線の出来事であり、そーし君やこーへい君目線では、また違う今日一日があったのだと思う。

 

2019年8月31日、素敵な経験をさせてもらった。宝物のような時間と経験をありがとう。僕は丸一日参加させてもらって、まるだしになれたよ。

 

クーラーさんという友人ができたこと、いろんな人と話せたこと、得たことが大きすぎる一日だった。人生で一番楽しかった。

 

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④次回の愚痴聞き屋

愚痴聞き屋のツイッターアカウントと、FBページへのリンクを貼っておく。次回の日程はこちらでアナウンスされるだろう。良かったら、様子を見に行ってほしい。

 

twitter.com

 

www.facebook.com

 

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記事を書いた人:わたなべ

20代を終わらせたくない会社員。イベントをやったり、「おどりば」というサイトで記事を書いたり、個人ブログや情報発信系のFBページで文章を書いたり、「ワクテカ」なことをやって暮らしている。